2010年3月10日 星期三

[地球異変余録]グリーンランド篇(3)

地球異変余録 グリーンランド編(3)

狩猟の旅から戻ると、出発前、白い氷に覆われていた入り江はすっかり青くなっていた。「こんなに早く解けるとは・・・・・・」と、大島さんはじっと海を見つめる。例年に比べ、ひと月も早く海氷が解けてしまったのだ。
從狩獵的旅程回來後,在出發前被白色的冰覆蓋的海灣,完全變成一片藍色。「沒想到這麼早就融解完了......」,大島一動也不動地凝視著海洋。跟歷年相比,海冰還要提早一個月融解。

船から望む氷河の末端も、年々、後退が進んでいる。「昔はもっと海に張り出していたんだよ」と、鋭く切り立った氷の絶壁を仰ぎながら、大島さんは言う。
從船眺望也可以看到冰河的末端逐年在後退中。大島邊仰望著鋒利陡峭的冰河峭壁,邊說:「以前是更突出海面的啊!」

シオラパルクは入り江の奥にある。村に近づくと、ようやく海氷が姿を見せ始めた。所々で、解け始めた氷に海水が染み出して、青い輪を描いている。その上では、ウミガラスの仲間の「アッパリアス」が舞う。極北の夏は、もう目の前まで来ていた。
Siorapaluk位在海灣的深處。 接近村莊之時,才漸漸開始看到海冰。到處地,在開始融解的冰中滲出海水來,描繪出一輪青綠。在那上面,成群的「アッパリアス」海鳥飛舞著。北極的夏天已經來到面前了。

村に帰ると、嬉しい知らせが大島さんを待っていた。四女のアヤさんに、元気な男の子が生まれていたのだ。大島さんにとっては5人目の孫。「おやじの名前をもらって、ウシゴローって名付けようかなあ」と目を細める。
回到村莊後,有好消息在等著大島。四女兒Aya生了一個健康的男孩兒。對大島來說是第五個孫子。女兒笑著說「我希望以父親的名字,取名為ウシゴロー好嗎?」

グリーンランドに移り住んで30年あまり。初めは犬ぞりも満足に操れず、獲物もほとんど捕れなかった。先輩に手ほどきを受け、何とか一人前に。そしていま、大勢の家族を狩猟一本で養っている。
移居格陵蘭三十多年。剛開始連雪橇犬都無法好好地操控,也幾乎捕獵不到獵物。接受前輩的指導後,怎麼樣也要想辦法能夠勝任。於是現在就一直以狩獵來養活一群家人。

30年前、電気もなかった「地球最北の村」の暮らしは大きく変わった。コーラ、ピザ、カップヌードル、パン・・・・。村の公営商店に行けば何でも手に入る。猟銃までもが、商品棚に平然と並んでいるのには少々おどろいた。
30年前,連電力都沒有的「地球最北之村」的生活發生了巨大改變。可樂、比薩、杯麵、麵包......等等,到村內的公營商店走一趟的話,什麼都買得到。甚至連獵槍也若無其事地陳列在商品架上,實在讓人有點驚訝。

小学校では、子どもたちはパソコンの勉強もしている。村にはインターネットが通じていて、たいていの家庭にはパソコンがある。国際宅配便を利用して、ネットショッピングを楽しんでいる人も多い。
在小學裡孩子們也在學習用電腦。村子有接通網際網路,大部分的家庭都擁有電腦。也有很多人利用國際宅配快樂地享受購物樂趣。

「アッパリアスを捕りに行こうよ」。大島さんの孫のイサムくんに誘われ、村から少し離れた夏のキャンプ地へ。イサムくんと犬ぞりに乗り込み、海氷が残る入り江を軽快に走る。
「來去抓アッパリアス吧!」。在大島的孫子勸誘下,我們前往離村莊些許距離的夏日營地。和伊薩姆一起坐上雪橇犬,在殘留著海冰的海灣上輕快地跑著。

キャンプ地に着くと、アッパリアスの大群が大空を埋め尽くすかのように舞っていた。この大群に網を入れ、一羽ずつ捕るという。さっそく急斜面を登り、岩陰に身を隠して網を振り始めた。
一到達營地,大群的アッパリアス像是要佈滿天空一般飛舞著。用網子捕捉這一大群,一次也只捕捉一隻。趕緊登上陡峭的斜坡,隱身在岩石陰影背後,開始揮動網子。

大島さんの網さばきは見事だった。獲物が数百羽になると、アザラシの皮袋にそのまま押し込み、岩陰に隠す。数カ月すると発酵し、冬の保存食「キビヤ」ができあがる。強烈なアンモニア臭がするというが、慣れるとやみつきになるらしい。
大島的網子操縱非常精采。抓了好幾百隻,就這樣硬是把海豹做成的皮袋給塞滿,然後藏在岩石的陰暗處。 這樣子發酵好幾個月後,冬季的存糧「KIBIYA」就完成了。雖然說有強烈的阿摩尼亞(氨氣)的臭味,但是習慣的話好像就會迷上了。

猟の合間に犬ぞりのムチも作る。アザラシの皮を細く切ってなめし、長さは7メートルにもなる。大島さんにはグリーンランド中からムチの注文がくる。質のいいムチを作れる猟師が少なくなったからだ。先住民の伝統を日本人が守っているなんて、なんだか不思議な気がした。
打獵期間也順便做雪橇犬的鞭子。將海豹皮切細後鞣在一起,變成長達7公尺。對大島而言,鞭子的訂單都來自格陵蘭。因為能做出優良品質鞭子的獵人很少。原住民的傳統手藝由日本人保留下來,還真是有點不可思議啊!

6畳ほどの小屋で、大島さんはひと夏を過ごす。古い銃にナイフ、網・・・・。必要最低限の質素な道具を手に自然と向き合う生活。「新しい道具を買えば、それだけ余計に獲物を獲らないといけないから」。村では、犬ぞりの代わりにスノーモービルを使うことを禁止している。
在大約6塊塌塌米的小屋中,大島度過一個短暫的夏季。老舊的槍、刀子、網子......等,得到最低限度必要性的簡約工具來自然地面對生活。「買新的工具的話,那樣就不得不捕捉多餘的獵物。」在村子裡維持禁止使用替代雪橇犬的雪車。

キャ ンプから帰り、アッパリアスを丸ごとゆでてみた。羽と皮をむしって、胸肉をパクリ。指でササミを取り出し、肋骨を割ると内臓が見える。ハツ、砂肝、レバー など、焼き鳥ではお馴染みの味だが、今回ばかりはなかなかのどを通らない。でも、獲れたてだけあって、新鮮な味だった。
從營地回來後,試著煮整隻アッパリアス。拔掉羽毛和皮,撕開胸肉。用手指取出胸脯肉,切開肋骨的同時也能看見內臟。心臟、砂囊與肝等等,雖然烤鳥肉串是很熟悉的味道,但是這一次卻非常難以下嚥。即使如此,正因為是現捕的,所以味道很新鮮。

帰国の日が迫るにつれ、天気が悪くなってきた。珍しく雨が降り続き、迎えのヘリコプターも飛べない。空港がある隣町のカナークまで、私たちは犬ぞりで行くことに。ところが、村のすぐ沖合いから氷が解けているという。私たちはそり犬に船を引かせ、途中から船に乗って、村を後にした。
回國之日在即,天氣卻變差了。持續降下少見的雨水,來接我們的直昇機也無法飛行了。我們坐狗拉的雪橇到有機場的鄰近城鎮カナーク。但是,距離村莊很近的海上的冰正在融解。我們還讓雪橇犬拖拉著船,然後到途中搭船,逐漸遠離村莊。

カナークに到着すると、現地で暮らす日本人女性の佐紀子ダオラナさんが出迎えてくれた。その晩はクジラの仲間であるイッカクの刺身でもてなしてくれる。しょうゆとわさびで頂くと、大トロのような濃厚な味が口いっぱいに広がる。たくさん食べ過ぎたのか、その夜は体が火照って、なかなか寝付けなかった。
到達カナーク之時,我們受到在當地居住的日本女性佐紀子ダオラナ的歡迎。當晚以鯨魚的同類,獨角鯨的生魚片來招待我們。加上醬油和芥末,類似大鮪魚肚的濃厚的味道在口中蔓延開來。不知道是不是吃太多了,那天晚上渾身發熱,幾乎都睡不著覺。

グリーンランドが解けている。約1カ月の旅で私たちはそう実感した。あれから1年。久しぶりに大島さんに電話をしてみた。「いやー、去年より氷がもっと解けちゃって、危なくて、海氷の上が走れないんだよ。もう、犬ぞりはいらなくなるかもしんないね」。自然とともに生きる極北の民。その暮らしが地球温暖化によって脅かされている。
大約一個月的旅行讓我感受到格陵蘭島正在融解中。從那之後一年,試著打電話給好久不見的大島。「哎呀~比起去年冰融解的更多,太危險了,在海冰上都沒辦法跑動囉!或許,雪橇犬將不復存在了呢!」。和自然共存的極北地區居民,他們的生活正遭受地球暖化的威脅。

プロフィール / Profile

武田 剛(たけだ・つよし)さん
武田 剛(たけだ・つよし)
朝 日新聞写真センター記者。03年末から1年4カ月間、第45次日本南極観測隊に同行し、南極・昭和基地などで越冬取材。06年には「北極異変」取材班の一 員として、北極圏のグリーンランドを取材。その他、01年と02年にタリバーン政権崩壊後のアフガニスタン、03年にイラク戦争などを報道した。著書に 「南極 国境のない大陸」(朝日新聞社)、「南極のコレクション」(フレーベル館)、「ぼくの南極生活500日」(同)がある。39歳。
朝日新聞攝影中心記者。從03'年尾開始的1年4個月間,與第45次日本南極觀測隊同行,至南極・昭和基地等過冬取材。06'年做為「北極變異」取材班的 一員在北極圈的格陵蘭取材。其他,在01'年與02'年塔利班政權崩潰後的阿富汗、03' 的伊拉克戰爭等作報導。著作有「南極 沒有國境的大陸」(朝日新聞社)、「南極的collection」(福祿貝爾館)、「我的南極生活500日」(同)。39歲。


http://doraku.asahi.com/lifestyle/earthphoto/070702.html

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