2010年3月5日 星期五

[地球異変余録]グリーンランド篇(1)

地球異変余録 グリーンランド編(1)


北極の氷が解けている。そのニュースを南極で聞いた。昭和基地でも異常な暖かさが続き、海氷が薄くなっていた。「地球の両極で温暖化が進んでいるのか」。南極取材から帰国して1年後の06年5月、私はその不安を胸に、北極圏のグリーンランドへ旅立った。
北極的冰正在融解。那消息是在南極聽到的。即使在昭和基地氣候也持續異常溫暖,導致海冰變薄了。「在地球兩極,暖化正在進行著嗎?」。從南極取材回國1年後的06'年5月,我心中帶著不安,朝北極圈的格陵蘭展開旅程。

デンマークの首都コペンハーゲンから約4時間。飛行機の窓には、世界最大の島グリーンランドが姿を見せ始めた。広さは日本の約6倍。その8割が氷に覆われ、最も厚い所では3千メートル以上の厚さがある。
從丹麥首都哥本哈根起飛到格陵蘭約四小時。從飛機的窗戶看出去,始見世界最大的島嶼-格陵蘭的姿態。面積約是日本的6倍。其8成土地被冰覆蓋,最厚的地方有3千公尺以上的厚度。

グリーンランドの第一歩は、意外にも土の上だった。南部のカンゲルルスアーク空港は北緯66度。矢印が並ぶ看板には、世界各地への飛行時間が記されている。一番近いのは北極点。わずか3時間15分だ。
格陵蘭的第一步意外地踩在土上。南部的坎克爾路斯斯雅克機場(Søndre Strømfjord Airport)位在北緯66度。箭頭陳列的看板上,標記著通往世界各地的飛行時間。離此最近的是北極點。只需要3小時15分。

さらに北緯69度まで小型機で飛ぶと、北欧風のカラフルな町並みが広がっていた。世界遺産の氷河とフィヨルド(深い入り江)があるイルリサットだ。 先住民のイニューイ(エスキモー)を中心に、4300人が暮らしている。
用小型飛機更深入到北緯69度的話,北歐風的彩色街廓展就會現在眼前。Ilulissat擁有世界遺產的冰河與峽灣(深的海灣)。以原住民依努依特人(愛斯基摩人)為中心,有4300人在此生活著。

高台に登ると、町のすぐ沖合いまで氷山が迫っていた。氷河から流出した氷がフィヨルドを埋め尽くしているのだ。案内役のイニューイが不安げに言う。「氷山の量が年々増えていて、小さく砕けるようになった」
登上高處就看到冰山已經逼近到城鎮的沿海。從冰河流出的冰持續地流入峽灣中。導遊イニュ-イ非常不安地說:「冰山的量每年不斷地增加,變成好多的小裂塊。」

ヘリコプターから望むフィヨルドには、無数の氷山があふれるように浮いていた。はるか奥には、島を覆う氷床が広がり、氷山を次々と海に押し出している。
從直升機上眺望峽灣,冰山像要滿出來一般漂浮著。在遠方覆蓋格陵蘭島的冰床展現在眼前,冰山在海面上一個接一個地蜂擁而出。


イルリサット氷河の河口には、氷が大きな氷流となって集まっていた。氷河の後退は年々進み、この10年で15キロも短くなった。
在Ilulissat冰河的河口,冰變成巨大的冰流匯集起來。冰河的後退年年都在進行著,這10年縮短多達15公里。

低空で氷河の上を舞うと、無数のしわが幾何学模様のように広がっていた。氷のきしむ音が聞こえるかのような光景だ。
在冰河上面低空盤旋,無數的皺摺像幾何學圖案一般地擴展開來。好像聽得到冰碰撞的嘎吱嘎吱聲響。

船で沖合いに出ると、真っ青な海は「氷の美術館」になった。白い氷山の峰々が連なり、青く澄んだ海面に、彫刻作品のような山並みを映し出していた。
乘船出海就可看到深藍的海變成了「冰的美術館」。雪白的冰山峰峰相連,清澈的海面映射出如雕刻作品般的連山。

沈むことのない夏の太陽は、一日中、氷山を照らし続ける。
不落下的夏天的太陽,一整天持續照耀著冰山。

針のようにそびえる氷山群の上を海鳥が舞っていた。
海鳥在如針一般聳立的冰山群上方飛舞著。

氷山の谷間をぬうように、小さな漁船がむかってきた。イルリサットの漁師たちは、冬は犬ぞり、夏は船で漁を続けてきた。ところが、ここ数年、真冬でも海が完全に凍らなくなり、犬ぞりが全く使えなくなったという。
好像穿過冰山的山谷間一般,小漁船向前駛來。Ilulissat的漁夫們冬天就讓狗拉雪橇,夏季則繼續捕魚。但是,據說這幾年即使是隆冬海水也變成完全不結冰,完全無法讓狗拉雪橇了。

高さ30メートルの氷山を見上げながら、漁師のニルス・グンデルさん(47)が「昔より氷山が小さくなって、なんだか気味が悪いよ」という。極北の地で暮らす先住民たちは、誰よりも強く、温暖化の影を肌で感じているようだ。
抬頭看30公尺高的冰山的同時,漁夫ニルス・グンデル(47歲)說:「比起從前,冰山變小了,感覺不太對勁啊!」。在極地生活的原住民們似乎比任何人都更強烈地藉由肌膚感覺到暖化的影子!

「海氷が薄くなり、しっかり凍らなくなった」。先住民たちは、誰もが口をそろえる。10年前は、犬ぞりはもちろん、4輪駆動車でも凍った海を渡って対岸の村に行けたという。
原住民們不管誰都異口同聲地說:「海冰逐漸變薄,確實是沒有在結凍。」10年前不用說用狗拉雪橇,即使是四輪驅動車也能渡過冰凍的海到對岸的村莊去。

5月早々、例年より早く、イルリサットの沖合いから、海氷は完全に姿を消してしまった。
比往年還早地,才剛剛五月,Ilulissat的海面上的海冰就消失得無影無蹤了。

午前1時。取材を終えてホテルに戻ると、白夜の太陽が氷の解けた海を染めていた。あまりの美しさに、思わず1枚シャッターを切る。不安になるほど、真っ赤な海だった。
早上1點。結束取材回去旅館之時,白夜的太陽染紅冰融化了的海。實在是太美了,情不自禁地又拍了一張照。不安的程度如同那通紅的海洋。

プロフィール / Profile

武田 剛(たけだ・つよし)さん
武田 剛(たけだ・つよし)
朝日新聞写真センター記者。03年末から1年4カ月間、第45次日本南極観測隊に同行し、南極・昭和基地などで越冬取材。06年には「北極異変」取材班の一員として、北極圏のグリーンランドを取材。その他、01年と02年にタリバーン政権崩壊後のアフガニスタン、03年にイラク戦争などを報道した。著書に 「南極 国境のない大陸」(朝日新聞社)、「南極のコレクション」(フレーベル館)、「ぼくの南極生活500日」(同)がある。39歳。
朝日新聞攝影中心記者。從03'年尾開始的1年4個月間,與第45次日本南極觀測隊同行,至南極・昭和基地等過冬取材。06'年做為「北極變異」取材班的一員在北極圈的格陵蘭取材。其他,在01'年與02'年塔利班政權崩潰後的阿富汗、03' 的伊拉克戰爭等作報導。著作有「南極 沒有國境的大陸」(朝日新聞社)、「南極的collection」(福祿貝爾館)、「我的南極生活500日」(同)。39歲。

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